No.0539>ブルータワー

刊行は2004年と古めの作品の再文庫化。今回は再再読になりますが、この作品は古びたところがあまり感じられない。著者は今を切り取っているような作品が多いので、これは目ずらし部類になるかも?

物語は現代で高層マンションに暮らす夫婦が主人公。旦那は脳に腫瘍ができる病に倒れ、余命幾ばくか。甲斐甲斐しく看病をする妻だが、その実は浮気をしている。ただ死にゆく定めの旦那とあれば、それも仕方が無いか。ただ相手側悪い。旦那の仕事仲間となれば、それを知った旦那の心情はいかがなものか。

物語はそんな現代の様子とは違い、200年後の未来を舞台をも舞台とする。主人公は現代にも生きていたのだが、なぜか現代の知識を持ちながら未来の世界にも同時に生きている。そしてそこはウイルスにより壊滅的な打撃を受けた世界。それを逃れるために打ち立てられた高さ2キロメートルにも及ぶ巨塔で生きる人間界。

現代と未来を上手にリンクさせながら物語は進んでいく。

ブルータワー (文春文庫)

ブルータワー (文春文庫)